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ペアトレード

ペアトレードとは

ペアトレードは、似た値動きをする2つの金融商品の価格の差異が変動することを利用して収益を得ようとする投資方法で、一般に「サヤ取り」と言われる投資手法のひとつです。

投資対象となる金融商品は、株式以外にも指数に連動するETFやトウモロコシなど様々なものが対象になりますが、私がおこなうのは株式市場でのペアトレードです。

似通った値動きをすることがわかっている2つの株式銘柄において、2つの銘柄の株価の差異が一時的に大きくなったり、逆に小さくなったとしても、近いうちにその乖離は解消されて乖離が発生する前の状態に戻るであろうことを想定して、そうなるであろう方向に一方の銘柄を「買い」、もう一方の銘柄を「売り」でポジションを作り、想定どおりに乖離が解消されたらそれぞれ反対決済します。

「買い」と「売り」がともにプラスの収益となると理想的ですが、どちらか一方が損失でも、もう一方で損失を上回る利益がでていればトータルでプラスの収益になります。

ペアトレードは2つの銘柄について必ず「買い」と「売り」をセットでおこなうので、市場全体が大きく動く株価変動があってもその影響が相殺されて、大きな損失になりにくい(大きな利益にもなりにくい)という特徴があります。

不確定要素(リスク)の影響をできるだけ少なくして利益を薄く積み上げる投資方法で、ヘッジファンドなどがおこなうロング・ショート戦略の一種です。

 

ペアトレードのメリット

  • 株式市場全体が暴落した際などに影響を受けにくい
    〇〇ショックのような株式市場全体が暴落するようなことがあったら、ペアトレードの2つの銘柄の株価も同時に下落しますが、その場合「買い」で大きな損失が発生する一方、「売り」では大きな利益が発生するので、差し引きで大きな損失となる可能性は低いといえます。

  • 日中の値動きを気にする必要がない
    ペアトレードは、1日1回株価をチェックして翌日の寄付きに間に合うように成行注文を出すだけで取引か可能です。仕事で日中の株価をチェックできない方でもできる投資方法です。

ペアトレードのデメリット

  • 短期的に大きな収益は得にくい
    片張りに比べて、「買い」と「売り」を両建てするペアトレードで得られる収益は小さく、短期的に大きな収益を望むのには向きません。大きな市場変動を気にすることなく、利益を薄く積み上げていくのに向く投資方法です。

    ペアトレードで得られる収益は、通常1回のトレードで多くて総投資金額の3~4%程度。1回のトレードは短くて数日、長い場合には数ヶ月となります。思うような動きをしない場合には、損失が大きくなりすぎないように一定の期間や収益(損失)率で損切りするルールを決めて運用することが大事です。

  • それなりにまとまった資金が必要
    ペアトレードは「買い」と「売り」を同時におこないますが、「買い」と「売り」の投資金額をできるだけ揃える必要があるので、株価によっては「買い」が500株で「売り」が400株といったように売買単位が大きくなる場合もあり、片張りをする場合に比べると大きな資金が必要です。

    なお、「買い」を単元未満株でおこなうことで、ある程度投資金額を抑えることもできます。

ペアトレードの知識をインプットする(ペアトレードに関する書籍)

ペアトレードに関する書籍を紹介します。すべて自分がペアトレードを実践するにあたり目を通して参考にしたものです。

この後で紹介するツールと、これらの書籍を参考にした自分なりのルールに基づいてトレードしています。

  • 相場の上下は考えない 「期待値」で考える株式トレード術 ~サヤ取り投資が儲かる理由~ 増補版
    ここに紹介する書籍の中では、もっとも最近発行された書籍で、サヤ取りが収益を生む仕組みや、サヤ取り投資の有利性、ボリンジャーバンドを用いたサヤ取りの基本的な方法などがわかりやすく説明されています。

    サヤ取りの具体的で詳細な方法を説明するよりも、むしろサヤ取りのアウトラインをわかりやすく説明して、多くの方をサヤ取りへ導くことを目指した書籍といった印象で、全体像を理解するのに役立ちました。

 

  • 株式サヤ取り入門 確率論に基づく「上野式」でシンプル投資
    2008年発行の書籍で、こちらでもサヤ取りの基本的な仕組みからボリンジャーバンドを用いたサヤ取りの方法まで説明されていますが、具体的な投資方法を実例をもとに説明することに力をいれている印象です。

    また、サヤ取りをするにあたって守るべきルールや考え方についてもページを割いて説明しています。

 

  • 「ペア・トレード/裁定取引」で儲ける
    2010年発行の書籍で、ペアトレードの仕組みやペアトレードの投資方法がわかりやすく説明されています。

    特にペア銘柄を選ぶ際の条件が詳細に説明されていて、とても参考になりました。

 

  • 株式サヤ取り教室
    1992年発行の書籍です。Windows95の発売と普及により投資にPCが活用されるようになるよりも前に書かれた書籍なので、サヤ取りの仕組みや投資方法の説明がアナログな記述となっているのですが、それが故に逆に気づかされる部分もあり参考になりました。

    サヤ取りをする上での収益管理の考え方などに関しても触れられているのですが、執筆時点の証券税制に基づく説明となっているため、その点は理解したうえで読み進めるとよいでしょう。

 

 

ツール

ペアトレードをするには、数多の銘柄の中から値動きが似ていて投資に適する銘柄ペアを抽出するためのツールが必要です。

ペアトレードのツールは、フリーソフトや会員制で有料のものなどいくつかあるのですが、自分はフリーソフトの「サヤ取り王」を利用しています。

 

証券会社

ペアトレードは「買い」と「売り」を必ずセットでおこなうので、「売り」(いわゆる「空売り」)をするための信用取引口座が必要です。「買い」は現物取引でもよく、その方がコストが安く済みますが、資金効率を優先するのなら信用取引でおこなうことになります。

自分は信用取引のコストが安いSBIネオトレード証券を利用しています。これから口座開設するならできるだけコストがかからない証券会社を選ぶことをお勧めします。

(単元未満株の活用)
単元未満株を活用することで、買いと売りの投資金額をできるだけ揃えながら総投資金額を抑えることができます(単元未満株は通常 現物取引しかできないので、買いだけが対象になります)。
メリットは、総投資金額を抑えることができる。現物取引は信用取引に比べてコストの負担が軽いなど。
デメリットは、レバレッジが効かないので資金効率が劣る。投資額が小さければ利益も(損失も)小さい。買いと売りで証券会社が違うとオペレーションが面倒。注文を入れられる時間が限られるなど。
単元未満株を売買できる証券会社は多く、マネックス証券(ワン株),SBI証券(S株),auカブコム証券(プチ株),岡三オンライン証券,野村證券(まめ株)では東証全銘柄をカバーしています。

 

留意すべきこと

  • 大型株でペアを組む
    小型株はあっという間にストップ高、ストップ安になりますし、それが2日、3日と継続する可能性もあります。

    狙った方向に動けばよいのですが、そうでない場合には損失が大きくなりますので、プライム市場の時価総額の大きい銘柄でペアを組むことをお勧めします。

  • 決算発表時期は要注意
    決算発表や想定外の材料が出たことなどにより思わぬ大きな値動きをすることがあります。狙った方向と逆に動いた場合には損失が大きくなりますので、決算については発表前に手仕舞いするなどの対処をお勧めします。

 

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